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東日本大震災・原発事故から4年――放射線と健康影響を考えるフォーラム

 1月22日(木)夜、「東日本大震災・原発事故から4年――放射線と健康影響を考えるフォーラム」を開催いたしました。
 
 福島県、南相馬市立総合病院の坪倉正治医師を講師にお招きし、自らが従事されている内部被ばく検査の結果を通じて、福島の現状と、放射線、放射性物質の検出値の捉え方について講演をいただきました。
 
 講演の初めに、自己紹介を兼ねて、坪倉先生が東日本大震災後、すぐに南相馬市に医療支援に入った際の話をしてくださいました。
警戒区域となった同市で、医師や病院職員が病院を離れる中、酸素ボンベをはじめとする医療物資は届かず、逆境の中で診療を続けられたこと。内部被ばく検査の必要が生じてからは、検査機器の提供先を探してご苦労されたこと。こうした経験を、重苦しくならないようジョークも交えてお話しされました。
 
 先生は、自然環境でも放射線は放出されていること、原発事故から4年たった福島のほとんどの地域は、(第一原発周辺の期間困難区域などを除いて)自然に放射線の高い他の地域と変わらない、ということを紹介されてから、放射線に被ばくするか、しないかが問題なのではなく、どれだけの時間、どれだけの量を浴びたかが重要なのだ、と繰り返し説明されました。一方で、福島県内の自然な放射線量に、原発事故によって人為的に余計な上乗せがされていることも確かだともおっしゃっています。
 坪倉先生は医師として、人々にデータと科学知識は提供します。しかし、それらを受けての判断は、人それぞれのあり方を尊重されるべきだと、お話しされました。
 
 講演の後、休憩をはさんで質疑応答を行いました。事前にFAXで受け付けていた質問、休憩時間中に集めた質問、会場で挙手にてお訪ねいただいた質問など、3通りの方法で寄せられた質問に、坪倉先生から回答をいただきました。
 福島県に住むお孫さんの健康を案じる方、メディアで流れる様々な情報をどう受け取ったらいいのか悩まれる方、質問の内容も、お寄せいただいた質問者の境遇もさまざまです。坪倉先生は分からない事ははっきりわからないと、科学的に断定できることは、丁寧にかみくだいて回答されていました。そして、人それぞれの判断を尊重することを、再度、付け加えられました。
 
 平日の夜というお忙しい中、100人近い方々にお集まりいただきました。ご参加いただいた皆さま、お話しいただきました坪倉正治先生、誠にありがとうございました。
 坪倉先生のお話で得た知見が、皆さんのより良い判断の礎となれば、幸いです。